監視カメラのハイテク化が進んでいる。通信網と接続してデータ通信ができる「ネットワークカメラ」がその典型で、将来、顔認証などの高度な機能を導入することで、監視だけではない多彩な用途が開けるとみられている。“頭脳”を持った監視カメラは市場拡大が確実で、メーカーも製品開発に力を入れている。
ネットワークカメラは、インターネットに接続されたデジタルカメラで、遠隔地の監視拠点などとデータ通信できる。専用線で結ぶ必要があるアナログカメラに比べ、安くシステムが作れる利点もある。監視にとどまらない複雑な利用法も考案されており、一部が実用化されている。
駅のホームや改札に設置したカメラの映像を、駅員が持ち歩くPDA(携帯情報端末)に映し出すシステムを開発したのがキヤノン。巡回する駅員は、無線で画像受信したPDAで、離れた場所の状況も確認できる。
同社がシステムを設置した関西のある駅では、券売機をカメラが見守り、利用法が分からない客には、駅員が映像を見ながらスピーカーを通じて具体的に説明できる。
ネットワークカメラは製造業の現場にも活躍の場を広げる。松下電器産業は、工場内での部品や人の流れをカメラ映像で分析。工程の改善につなげる「工場見える化システム」と名づけたサービスを昨年から始めた。
ソニーは睡眠障害の専門医療施設にシステムを提供。暗視機能があるカメラで夜の患者の様子を確認し、医師の適切な処置に役立てる。複数の病床にあるカメラは、一括操作できる仕組みだ。
医療過誤を恐れる医療現場では、顔認証機能を搭載したカメラを使い、患者を確認しながら誤った処置法がされていないかをチェックする利用法も検討されている。商業分野では、店舗での客の動きを分析し、最適な棚の配置や商品の並べ方を探る案もある。
ネットワークカメラ市場は、2011年に世界で2300億円とほぼ4倍になる見通し。
キヤノンは「主要部品はすべて自前で生産できるため、製品数の拡充を急いでいる」(担当事業部責任者の岡田正人氏)といい、現在、数十億円の売上高を11年に230億円に増やす計画だ。日本ビクターも「10年にシェア20%」の目標に掲げ、ビデオカメラで培った技術を活用する考え。
電機や精密機器メーカーは新たな機能や用途の開発に力を入れており、成長市場をめぐる競争も今後激しくなりそうだ。
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