揮発油(ガソリン)税の暫定税率失効で、ガソリン税が4月1日から1リットル当たり25・1円低下する。石油業界では過度な価格競争やガソリンスタンドでの売り切れなどを懸念しており、タンクローリーの稼働率を上げて配送を強化する構えだ。しかし、前代未聞の事態に対応が十分かどうかも把握できないのが実情で、無力感さえ漂っている。
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給油所の在庫ガソリンは課税されたもので、それが無くなるまでは現在の価格が続くはずだが、在庫量によって値下げのタイミングはばらばらだ。しかしライバル店が下げれば追随せざるを得ず、利益度外視で値下げに踏み切る店も出始めている。
値下げによる最大懸念は品不足だ。普通乗用車で満タンにした場合、現在との価格差は約1000円。このため安い給油所には長蛇の列ができ、揚げ句に売り切れてしまい、トラブルになる可能性がある。
対応策として新日本石油や出光興産など石油元売り各社は、ガソリンを配送するタンクローリーの運転手を2~3割増員した。新日石のローリー車数は1100台で、10年前に比べ約3割も減少している。無論、急に台数を増やすことができないため、1台の稼働率を高めるほかない。冬場の灯油配送にかかわっていた配送員の契約延長などでドライバー数を例年比2~3割増の1400~1500人とし、1日当たりの配送回数を増やす方針だ。
出光とジャパンエナジーも同じく配送員を2~3割増員したが、需要が読めないため、配送面の不安はぬぐいきれない。出光が、同社系列の給油所に28日までに実施した、4月1日以降に優先的にローリーの手配を受ける権利募集には、配送能力を3割も超える応募があった。このため、出光では「需要殺到の場合には、配送に応じきれない可能性もある」としており、一部給油所では“ガソリン切れ”の懸念が残る。
“燃料切れ”が死活問題となる運送業界では、高くとも燃料の確保に全力を挙げる。トラックの燃料の多くは軽油だが軽油も17・1円下がるため、店頭で入手困難になる可能性があり、その防衛策を取っている。
日本通運は全国255カ所の自家給油所の燃料タンクを3月末に満タンにするよう社内に通達。佐川急便もグループ約2万500台の全車両を満タンにするよう各支店に指示した。
一方、約1万1000台の個人タクシーが所属する「東京都個人タクシー協同組合」では「暫定税率が切れたとしても、ガソリン代が高いままなのか安くなるのかはガソリンスタンド次第。対応の取りようがない」と無用の混乱を招く政府の失策にあきらめ顔だ。
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■25円程度値下げ、期間は限定的
Q ガソリン税の暫定税率が3月末で切れると、ガソリン価格はどうなる
A 現在、1リットルあたり53・8円のガソリン税がかかっているが、うち暫定税率分25・1円がかからなくなり、店頭価格は25円程度安くなる。
Q いつから
A 租税特別措置法が失効する4月1日からだ。だが、ガソリン税は製油所から出荷された時点で課税される「蔵出し税」のため、ガソリンスタンドや石油元売り会社がガソリンを備蓄する「油槽所」には、3月末までに出荷された課税済みのガソリンが残っている。在庫量は1週間~10日分で、それがなくなれば全国的に安くなる。在庫量が少ない給油所は、3日程度で在庫の入れ替えができるので、4月第1週には値下げが進む見通しだが、店舗間でばらつきが出る。
Q すでに値下げする店も出ているが
A 東北や北海道、関西などのGSの一部では利益を度外視して、値下げに踏み切る店も出ている。周辺のGSも競争上値下げを余儀なくされ、価格や需給の混乱にもつながりかねない。ただ、元売り会社や業界団体は流通業者の販売価格(再販売価格)を拘束すると不公正取引となり独占禁止法に抵触するため、歯止めをかけるのは難しい。一方、利益が出ない価格で販売をはじめた販売店は、同じ独占禁止法の不当廉売にあたるとの指摘もあるが取り締まりは困難だろう。
Q 安い価格はいつまで続くのか
A 福田康夫首相は、平成20年度の暫定税率維持を表明しており、与野党の協議が不調のまま推移すれば、4月29日午前0時以降に参議院での審議をみなし否決し、政府案を衆議院で再議決することが可能となる。再議決後は暫定税率が再度適用され、小売価格も約25円値上がりする。

